「世界でもっとも強力な9のアルゴリズム」読了
- 作者: ジョン・マコーミック,長尾高弘
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/07/19
- メディア: 単行本
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各章の内容としては、①検索エンジンの仕組み、②公開鍵暗号法、③誤り訂正符号、④パターン認識、⑤データ圧縮、⑥データベース、⑦デジタル署名、⑧決定不能性、など私たちの身近に潜む幅広い情報科学技術を説明しています。
個人的にこの中で下記の3つの内容が特に面白いなと思いました。
- 検索エンジンの仕組み Googleのような検索エンジンが自分の検索ワードに対して、どのようにして関連性の高いランキング順にウェブ検索結果を返してくれるかを説明していて、私たちが一番身近に利用していると感じるだろう技術に関する内容です。ウェブ検索で関連ランキング付けをどのように行っているのかというのは、普段意識していなくても言われてみると気になる内容で、ただ検索ワードにヒットするウェブページを探すだけではなく、ハイパーリンク数を利用して関連性の重みづけをするアイデアは、なるほど!と納得できて面白かったです。
- 公開鍵暗号法 私たちが日常的に利用しているAmazonなどのショッピングサイトでのクレジット決済のような重要な情報をどのように暗号化してやりとりしているかを "絵具の混合" をまず例にして説明していて、その後に数字を使った説明もしていて、分かりづらい内容を簡易的な例でとても丁寧に説明をしていて理解しやすかったです。色々な人から見られる危険性のあるネットワークでどのように機密情報を守るかという重要な問題はこの公開鍵暗号という独創的な仕組みで成り立っているのかと感心しました。
- パターン認識 "パターン認識" はコンピュータに入力データから経験を学ばせることによって、「知的に」行動させることを言っていて、人の顔や音声、手書き文字の認識などに使われているようです。サングラスをかけた人間や手書き文字の認識を例に、"最近傍法" や "ニューラルネットワーク" 等のパターン認識を支える技術を分かりやすく説明していて、初めて聞く内容が多かったので、新鮮な気持ちで楽しく読み進められました。これから大幅に発展していくだろうこの分野によって、どのくらい人間の仕事がコンピュータに置き換わるかという問題は興味深いなと思います。
この本を読んで、正直よくわかっていないまま放置していた "公開鍵暗号" や "誤り訂正符号" みたいな内容をもっと本質的に理解できました。個人的には基本情報技術者みたいな情報科学入門的な資格を取る前に読んでおけば良かったなと思いました。
数式なども一切出てこないので、情報科学についてあまり詳しくない人でも楽しく読める内容で、身近に使われている情報科学技術のことを知るのにおすすめできる本です!!